月曜日に長崎出張が入ったことに託けて、週末を利用して、佐賀に住む祖母に会い、そして佐賀、長崎を小旅行することにした。祖父が亡くなってから初めて会うのだから、実に4年半ぶり。大阪の祖父母とは年に何回も会うのに、九州までの距離が足を遠のけるのだろうか。
土曜日、午前中の便で羽田空港を発ち、昼頃に福岡空港に到着。祖母の住む佐賀県多久市は佐賀空港よりも福岡空港が近い。空港前でレンタカーを借りて、すぐに車を走らせた。
祖母宅に向かう途中、まずは博多に立ち寄り昼食。東京都内にも何店舗も展開する「博多一風堂」の本店に足を運び、ラーメンを食べた。ともて美味しい。本店はさすがに気合いが入っている。続いてガイドブックに推奨されていたうどん屋「みやけうどん」も訪れたが、こちらはイマイチ。麺のコシが足りない。いずれにせよ、2食分昼食時に腹に収めて完全に満腹。
昼食を済ませて佐賀に向けて車を走らせ、次に訪れたのは吉野ヶ里歴史公園。記憶が確かだとすると5年前にも来ているはずなのだけれど、この5年間にかなり公園整備が進んだようだ。以前は植木が根付いたばかりで風が吹くと砂埃が舞い不快だったし、弥生時代の建造物の再現もまだまだ進んでいなかったのだけれど、今ではそれらしくなっていた。さすが吉野ヶ里、大規模な遺跡群といった感だった。
こうして16時頃にようやく佐賀県多久市の祖母宅に到着。祖母は笑顔で出迎えてくれたけれど、一目見て祖母の印象が変わったことに驚く。4年半前には黒かった髪が、完全に白髪になっている。もちろん以前も白髪を染め上げていたのだろう。それでも髪の白さが、祖母がかなり老け込んだこと、そして祖父を亡くし子供と離れて1人暮らす祖母の心情を表しているようで、心苦しくなった。その日は祖母が作ってくれた夕食をいただき、そして深夜まで2人で話し込んだ。僕の結婚に1番関心があるようで、そこから話題を逸らすのに苦労した。
翌日日曜日は、祖父の墓参り、そして祖父が亡くなる前に祖父母と僕で最後に訪れた佐賀県呼子という漁港の町に行くことにした。祖父の墓は多久から車を30分程の距離にある佐賀県伊万里市にある。伊万里は祖父、父の出身地であり、そして僕の以前の本籍地。墓は街を望む高台にある。前回はこのお墓に祖父とお参りした。その祖父が今この下に眠っているのかと考えると、不思議な気分だ。
伊万里の次に向かった呼子は、新鮮な魚介類が売られる朝市が有名。おばちゃんたちが路上に店を連ね、名物のイカ、ウニ、アワビ等を売り捌いている。ウニをその場で割って食べさせてくれるという店もあったので、思わず頼んでみた。小ぶりだけれど旨みがぎゅっと凝縮されていて美味しい。しかも200円、安い。朝市を離れると、呼子名物「イカの活き造り」を食べることができるレストラン「海宝」に足を運んだ。つい数分前まで生きていたイカはまだピクピクと動き、身が締まって甘い。玄界灘の海の幸は絶品だ。
呼子を後にして夕方多久の祖母宅に戻る。少し休憩したら、翌日に備えて長崎に向かうことにした。今回の訪問で、祖母に会えたことはとても有意義だった。再訪は4年半も経たない中に実現するだろう。
多久を後にして向かった先は長崎県佐世保市。佐世保は米海軍、海上自衛隊が街の中心部に基地を構えている。体格の良い外国人が多数街を歩いているので、一瞬ここは日本かと思わせられた。街中には、国辱的であるととらえられかねないなシンボルマークもあった。金色に塗られた鳥居の下に、米海軍のプレートと碇がぶら下がっている。日本と米国の融合という意味合いなのだろうか。個人的には、鳥居と軍隊がマッチするとは思えない。このような環境だからだろう、佐世保は日本で最初にハンバーガーが根付いた街とのことだ。今では「佐世保バーガー」がという名所も全国的に認知されており、僕も有名店の1つ「ログキット」でビッグサイズのハンバーガーをトライ。ジューシーで美味しい。ジャンクフードの代表みたいな食べ物だけれど、これはやみつきになりそう。東京都内にも系列店があるみたいのなので、是非一度足を運んでみたい。
佐世保を後にして、いよいよ長崎市に向かうことにした。佐世保から西海橋を通って西彼杵半島を南下。、水平線に沈み行く夕日を望むことができた。海沿いのドライブは気持ちが良い。
長崎には20時を過ぎた頃に到着。ホテルに着くとすぐに長崎の夜景を一望できる稲佐山に向かった。展望台から眺めると、山と海の間隔が狭くて長崎が狭い範囲で発展していることが手に取るように分かる。夜景自体はなかなか綺麗だけれど、東京の勝ち。稲佐山に戻ると、途中観光名所の眼鏡橋を通過しながら、ガイドブックに載っていた「長崎軒」にちゃんぽん目当てに足を運んだ。具沢山で美味しい。その後ホテルに戻って就寝、翌日の仕事に備えた。
久しぶりに九州を訪ねたけれど、素晴らしい場所だ。少し街を外れると緑が広がり、自然がいっぱい。ゴミゴミとせず、道路も快適。そして何よりも魚介類を中心として、食べ物が美味しい。考えてみると僕の半分のルーツは九州。心身共に自然と馴染んだのだろうか。そう遠くない中に絶対に訪ねたい。